こんにちは、現役保育士です。
皆さんは「自閉症を抱えた人には天才的な才能がある」という話を聞いたことがありますか?
今回は私の実体験を元に、自閉症の子供が天才だったというエピソードを話していきます。
自閉症の子供は天才?
私は以前から自閉症を抱えている人は天才的な才能があるという話を聞いたことがありました。
正直この職につく前は、そんなの発達障害を抱えている人に対して差別がなくなることを目的とした迷信のようなものだと思っていました。
しかし保育士の先生として仕事をするようになってからはその考え方は変わりました。
私が4歳児クラスの副担していた頃、自閉症を抱えた田村君(仮名)という子供がいました。
田村君はお友達や先生も含めて他の人とコミュニケーションをとることがほとんど無く、いつも、ほのぼのとした雰囲気を持っていました。
自閉症の子供は、一定の物に対してしか興味を示さないということは知っていたので、田村君は好きな物を好きなだけ遊ばせてあげるという教育方針で保育をしていたのですが、ある出来事をきっかけに私の田村くんのイメージはガラリと変わったのです。
その出来事とは、「間違い探し」です。
よく絵本なんかにあるアレですね。
絵と絵を照らし合わせ、どこが違うのかを見つける遊びです。
ある日、子供たちが大勢で固まり、みんなで間違い探しをしているところを見かけたのですが、珍しく田村君も一緒になって遊んでいたのです。
気になって近くで様子を伺っていたのですが、何回やっても健常者であるどの子供達よりも先に間違いに気づいて指差しをしているではありませんか。
そのスピードは本当に早く、大人と同等かそれ以上のスピードで左右の絵の違いを発見していきます。
正直私はこれに驚きました。
普段から田村君は言葉を理解するのが難しく、制作や運動会の練習なども他の子供に比べてなかなか上手にできないというのが私の印象でした。
実際コミュニケーションをとるだけでもかなり難しく、自閉症ということは理解してはいますが、言い方を悪くすると劣等生のような保育が難しい子供というイメージがあったのです。
ちなみに子供達が遊んでいた絵本は動物の間違い探しの絵本でした。
田村君は週末になると家族でよく動物園に遊びに行くそうで、元々動物好きな性格をしています。
自閉症を抱えた子供でも自分の興味のあるものに対しては、細かい特徴覚えたり、わずかな違いを判別する能力に長けているという事が実感できた瞬間でした。
自閉症が天才な理由
自閉症を抱えている人が天才だと言われている理由について順に解説していきます。
分析力が長けている
自閉症を抱えた人は自分の興味を持ったものに対して、ものすごい分析力を発揮することが多々あります。
健常者では気づけないような、細かな変化などを鮮明に捉えることができて自分なりに分析することができます。
これは、先ほど紹介した田村君の例に対しても当てはまりますね。
記憶力が長けている
自閉症を抱えた人は記憶が力が長けているという話もあります。
日常的に行う誰もができる物事に関しては、記憶すること自体は苦手なのですが、やはり一つの分野に限ってはものすごい記憶力を発揮することがあります。
「なぜそんな細かいことを覚えているの?」と普通の人ならば疑問に思うようなことでも鮮明に映像として脳に蓄積されているのです。
持続性が高い
普通の人ではすぐに飽きてしまうようなことでも、自閉症を抱えた人は何度も何度も繰り返し熱中できるという特徴を持っています。
確かに田村君のような自閉症を抱えた子供も、好きな遊びは飽きずに毎日のように繰り返している様子をよく見かけます。
悪く言えば、他の物事に興味がない為、幅広い知識は得られないかもしれませんが、一つのことに対して知的好奇心を全て注いているので、
常人には理解できないような境地に達することができるのだと思います
サヴァン症候群とは
自閉症を含めた様々な発達障害を抱えた人が類稀なる才能を発揮できる能力を持っていることをサヴァン症候群といいます。
アインシュタインやニュートンをはじめとした歴史上の偉大な人物たちはこのサヴァン症候群を患っていたという説がありますね。
これは最近の研究によって名づけられた障害名であり、サヴァン症候群が広く知られるようになってからは社会的にも発達障害がある程度世間に認められるようになったそうです。
一部では天才的な自閉症の人たちを羨ましく思い、後天性のサヴァン症候群になりたいと考える人たちも増えてきているそうです。
もちろん、全ての自閉症を抱えた子供達がサヴァン症候群にかかるとは限りませんが、我が子が自閉症だと診断され、絶望している保護者もいることを考えるとなんだか皮肉ですね。
育て方次第
自閉症を抱えた子供が必ずしも才能を発揮し、天才になれるとは限りません。
そもそも自閉症だから天才になるという考え方は間違いで、結局は保育者や親の育て方次第で子供がどのように育つかは決まります。
自閉症を克服するべく健常者と同じような生活や、将来普通の仕事に就ける事を目的として育てていくならば、もしかするとその子の持っている本来の才能は失われてしまうかもしれません。
逆に、自閉症を受け入れてその子の好きな物や、興味がある分野を伸ばしていけば天才的な才能を発揮する可能性は増えるかと思います。
下の記事では自閉症の子供の発達を助長する事に特化したおもちゃを解説しているのでご覧になってみて下さい。↓
もし自分の子供が自閉症を抱えていた場合、
幼少期から特別扱いせず、周りの子と同じように発達を促して健常者と同じような生活を目指すという考え方もありますし、
自閉症を個性と認め得意分野を極めさせるという考え方もあるでしょう。
よく「その子の好きなようにやらせてあげたい」と考える保護者の方がいますが、結局どのように育ち方になるのかは親次第です。
自閉症を抱えた子供がやりたいことが分かっても、将来自閉症の子供がなりたい姿というのは本人ですらまだ分からないですよね。
つまり、親の育児方針教育方針は自閉症の抱えた子どもにとっての 人生の道しるべのようなもので親がその子の運命を握っていると言っても過言ではないのです。
思いつめるほど悩む必要はありませんが、保護者の方はよく考えて自閉症を抱えた子供の育児方針を決める事が重要ですね。
以上、保育士の助言でした。