こんにちは、現役保育士です。
今回は自閉症を抱えた2歳半の男の子の行動について解説していきます。
健常児とはどのような発達の違いが見られるのか、体験談をもとに具体的に伝えていこうと思います。
自閉症の特徴
私が勤務している保育園では2歳児クラスに自閉症スペクトラムだと診断された子供がいます。
自閉症を抱えた子どもに対する保育というのは本当に難しく、私なりに奮闘している日々ですが、
何の障害も持たない周りの2歳児とどのような違いがあるのかが、ある程度分かるようになってきたので解説していきたいと思います。
一般的に言われている自閉症の特徴は、こだわりが強くコミュニケーションが苦手という認識が強いですが、 必ずしもすべての自閉症を抱えた子供にそれらの特徴が当てはまるとは限りません。
2歳半の男の子の行動
最近自閉症だと判明した2歳半の男の子ですが、私が一番最初に感じたことは特にコミュニケーション能力が低いとは感じなかったということです。
その子は決して流暢に話せる方ではありませんでしたが周りの子と同じように子供同士のコミュニケーションを取って好きな遊びや制作に取り掛かっている様子が多く見られました。
もちろん大人と同じようにハキハキと喋るわけではありませんでしたが、他の子に混じって仕掛け絵本を一緒に読んでいたり、砂場で泥団子を作って遊んでいる中で友達に話しかけながら作業をしていたりなど、むしろ協調性が伺えるような言動もしていたように感じます。
自分のことを一人称で呼ぶこともできているので自分と他者の区別もすでについているようです。
つまり自閉症を抱えているからといって、必ずしも発達の遅れがあったりコミュニケーションが苦手というわけではないようです。
記憶力が低い?
記憶力に関しては他の2歳半の男の子と比べ劣っていたというのは感じました。
私の園では朝に子供達に話したことおかえりの時に毎回思い出させるのですが、 その自閉症を抱えた男の子はいつも忘れてしまい思い出すことができないようです。
他の2歳半の男の子は情緒的な発達が進むにつれて記憶力も良くなってきているのですが、自閉症の子はなかなか発達の実感が湧かないままとなっています。
これは話を集中して聞いていないという訳ではなく、 朝はしっかりと集中してお話を聞いているのにもかかわらず「思い出す」とかいう行動自体が出来ないうえに苦手なのだろうと思います。
ただし、自閉症を抱えた子供は自分の興味を持ったある特定の事柄に対しての記憶力は凄まじいとも言われていますよね。
もしかするとこの子も、他の子にはない才能を発揮して特定の分野で輝く日が来るかもしれません。
独り言が多い?
自閉症の特徴として独り言が多いということは言われていますが、 この自閉症児の場合はそこまで独り言は見受けられませんでした。
むしろ普段から不安を抱えている2歳半の健常児方が独り言が多い印象を受けています。
その子の場合は障害を抱えている訳ではないのですが、家庭の問題で心が不安定だという報告を受けています。
独り言というのは自分を安心させる為に自然に出るものだと言われていますが、自閉症を抱えているからといって心が不安定だとは限らないようですね。
2歳半の男の子が出来る事
自閉症を抱えていない通常の2歳半の男の子は、この時期になると急激に社会性の発達が期待できますよね。
運動能力の発達し、歩いたり走ったりジャンプしたりなど自由奔放に遊ぶ姿を見ることができます。
私が見た自閉症を抱えた2歳半の男の子もその例外ではなく、普通の子に混じって自由に体を使って遊ぶことは可能です。
この時期になってくるといい意味で飽きっぽくなってくるのが一つの発達段階と言えるかと思います。
できることの選択肢が増えて一つのことには集中せず次から次へと新しい遊びを探し出すのが2歳半という時期の特徴と言えるでしょう。
しかし私が保育をした自閉症を抱えた2歳半の男の子は、他の子に見られるこの「飽きっぽさ」がなかったように感じます。
私が勤務している園では、お昼寝をした後に毎日外遊びを取り入れていますが、基本的に2歳半の男の子は
砂場で遊んだり、追いかけっこをしたり、ボール遊びをしたりなど1日で遊びがコロコロと変わることが多いのに比べて、自閉症を抱えた2歳半の男の子は毎日のように砂場で泥団子作りをしています。
室内遊びの時に関しても自閉症を抱えた子供はいつでも粘土遊びをしていることが多いですね。
どんな子供にもお気に入りの遊びというのは存在しているかと思いますが、自閉症の子はお気に入りの範疇を超えて、それ以外の遊びでは納得できないというような意思が見受けられました。
これは自閉症の特徴の一つでもあるこだわりの強さが関係しているのかもしれませんね。
自閉症児と健常児の違い
ここからは自閉症児と健常児の違いについて解説していきます。
今回のケースで言うと主な違いは、こだわりの強さ(同じ遊びをしていても飽きがこない)が比較的多く見受けられたという事でした。
社会性の発達が見受けられるほど情緒的な成長が見込まれてはいるものの、これが自閉症を抱えていない2歳半の男の子とは明白な違いを感じた部分になります。
今回は2歳半の男の子を例に挙げて解説してきましたが、一般的に言われている自閉症の特徴に必ずしも全てが当てはまるというわけではないという事が分かったかと思います。
つまり、裏を返せば自閉症の特徴が全て当てはまっているからといって、自閉症と診断されるとは限らないということです。
正直、世の中には「うちの子が自閉症かも?」と悩みすぎている保護者の方が多すぎる気がします。
ただ単に平均よりも発達が遅れているだけの可能性もありますし、自閉症ではない軽度の発達障害の可能性もあります。
中にはコミュニケーション能力が周りの子よりも低いというだけで発達障害を心配する保護者の方もいますが決してそのようなことは無いので安心してください。
以上、保育士の助言サイトでした