今日は現役保育士です。
先日2歳児クラスの保護者の方から
「子供が喋らないのですが自閉症の可能性はあるのですか?」という質問を受けました。
保護者の方が不安に感じてしまう気持ちも分かりますが、2歳児が喋らないからと言って自閉症を抱えているとはとは限りません。
今回はその理由と2歳児がしゃべらない原因について解説していきます
2歳児がしゃべらない理由
そもそも、なぜ2歳になっているのにもかかわらずしゃべらないのか?という理由を解説していきます。
一般的な子供の成長を考えるならば、2歳という時期は言葉と言葉をつなぎ合わせた【二語文】と呼ばれる文章を話すと言われています。
さらに、2歳半頃になると3語文や4語文などの、より長い文章で的確に喋ることができるようになるかと思いますが、全ての子供がそのような順調な発達をするとは限りません。
そうです。
何の障害も抱えていない健全な子供も順調な発達をするとは限らないので、言葉をしゃべらないからと言って自閉症だと決めつけるのはあまりにも早すぎますね。
発達の遅れ
2歳児が喋らない理由で一番考えられるのは、単純に子供の発達が遅れ気味だということです。
そもそも2歳児の発達スピードは一人一人によって異なるので、たとえ適切な育児環境で育った自閉症ではない子供だとしても喋らないということは十分あり得る事です。
環境の違い
次に2歳児が喋らない理由として考えられるものは、言葉の発達が助長されないような環境で育ってきてしまっていることが要因になっているというものです。
知っての通り子供は家庭でパパやママの言葉を聞いて育っていくものです。
赤ちゃんの頃に大人が子供に対して声かけを怠っていると言葉の発達もそれだけ遅れてしまう可能性が増えてしまいます。
その場合は2歳児が喋らないというのは、単純に言葉の発達が遅れている可能性がより高くなり、自閉症などの発達障害を抱えている可能性は低くなります。
小さい頃からあまり声かけをしていなかったなという自覚のある保護者は逆に安心できるかと思います。
子供同士の関わりが無い
子供は2歳頃になると周りの子供達の影響を受けて発達が助長されるというのは知っていましたか?
小さい頃からこども園や保育園に入園しているとそれだけ発達が早くなるという話を聞いたことがあるかと思います。
それは別に保育士の技術力がすごいわけではなく、周りにいる同年代の子供達から刺激を受けてどんどん知識を吸収しているからなのです。
つまり2歳で初めて保育園に入れたり今もなおずっと家庭で保育を続けているお子さんはそれだけ、2歳になってもまだ喋らないという可能性は高くなります。
ここで勘違いしてほしくないのですが別に子供の発達は早ければ早いほど良いというわけではありません。
保護者の方は自閉症かもしれないというのが不安で早く発達してほしいと願っているかもしれませんが 、無理に言葉の発達を助長させようとしても子供が言葉を覚えることに嫌悪感を示すことになるかもしれませんのでむしろ逆効果です。
重要なのは2歳児が言葉と触れ合うことに喜びを感じ、「早く喋りたい!」と思うように促していくことだと思います。
しゃべらないと自閉症?
私に相談をしてきた保護者の方は、【この子は自閉症ではない!】と、どうしても確信を得たかったようでしつこく聞いてきましたが
先ほども話したとおり、2歳児が喋らないからと言って必ずしも自閉症というわけではありません。
これは私の経験談になってしまうのですが、現在5歳児クラスにいる自閉症を抱えた子も全く喋らないというわけではありませんし、むしろコミュニケーション能力も低くないと思っています。
一般的に、自閉症の特徴と言うと「言葉の遅れがあり喋らない」というイメージが強いですが、自閉症と診断を受けているその5歳児は、むしろ周りの子供達とのコミュニケーションを楽しんでいる様子さえ見受けられます。
つまり、2歳児の言葉の発達スピードが一人ひとり違うのと同様、自閉症を抱えている子供の症状も一人ひとり違うと言えるので正直に言ってしまうと、保育士はおろか、保護者や専門医の方でも自閉症の判断は難しいのです。
自閉症というのは、ある特定の瞬間だけを見て判断されるのではなく子供の成長を追って観察し、徐々に診断結果として表れていくものです。
つまり、何度も言うように2歳児がしゃべらないというだけでは到底自閉症かどうかの判断はつくはずもなく、私どもからは【心配であれば専門医に相談を進める】ことぐらいしかできないということです。
ちなみに下の記事では、私が勤務している保育園にいる2歳半の男の子を例に挙げて自閉症の特徴を解説しているので、自閉症の疑いがある子供の特徴と見比べてみて下さい。↓
2歳児が喋らない時の対処法
ここからは、2歳児が喋らない時の対処法について解説していきます。
対処法といえども基本的に保護者が2歳児に向かって話すように仕向けるのは正直難しいところではあります。
では、一体どうすれば良いかと言うと、2歳児が話したいと思うように促していくのが正解ですね。
具体的には、三歳児に向かってたくさん声かけをしつつ、疑問に感じているものに対して共感してあげるというのが重要になります。
例えば2歳児があるものに対して指差しをして何か喋りたそうにしている雰囲気を感じ取ることができたら、積極的に声かけをして指差しをしているものが何なのか答えてあげましょう。
その際には子供の目を見て、親と子のコミュニケーションを取っているという自覚を2歳児自身に持たせてあげるようにしてくださいね。
これを何度も繰り返すうちに、2歳児が言葉に興味を持つようになり生活していく中で自然と言葉を話すようになっていくかと思います。
現状全く喋らないのであればまだしも、1語文さえ喋ることができているのならば2語文や3語文への発達は割とすぐに進んでいくかと思います。
世の中には2歳児が喋らないからと言って自閉症だと疑ってしまう保護者の方が非常に多いです。
自閉症を疑うよりもまずは言葉が遅れてしまっている他の原因を考えてその対処法を探すことから始めてみると良いかもしれません。
以上、保育士の助言サイトでした